桐ケ谷のこばやしと言えばメディアによく登場する有名庶民派日式中華店である。
行動半径の中にありながらこれまで足を運ぶことがなかったのは、
駅から遠いことと近くに有料駐車場がないことに他ならない。
この日、思い立って、東急目黒線不動前駅から10分近く歩いて店に行く。
平日14時ちょい前の入店で、全14席の店内に先客は男性一人客が2名。
広いテーブル席も空いていたが、何となく厨房前のカウンター席に座る。
メニューはカウンター上部の壁に紙で掲示されている。
特に迷うこともなく、軟いヤキソバ700円と餃子500円を注文する。
店は老夫婦によって営まれている。
スローなのに手際がいいお二人の動きを眺めているのが楽しい。
私以外の二人の客がマンガ雑誌に夢中なのを見て、勿体ないと思ってしまう。
なんか、とても居心地のいい店だ。
注文から8分ほどで出来上がってくる。
餃子は中の上くらいの大きさのものが5個、皿に並んでいる。
辣油が入った小皿が添えられ、それに卓上の酢と醤油を足す。
野菜たっぷりでニンニクがしっかり効いた、昔ながらの餃子の味だと思う。
かじると肉汁なのか野菜の水分なのか、旨味の汁が口の中にギュッとほとばしる。
焼きそばは豚肉、キャベツ、ニンジン、木耳、ピーマン等の具とそばを一緒に炒めたもの。
麺はラーメンで使用されるものと同じものだと思う。
一回茹でてから炒められているので、表面にぬめりがある。
塩味は薄めで量的にはそれほど多くない。
こういう時間の壁を超えたような庶民派中華の店に来ると、
その後の仕事のあれこれを忘れてしまうくらい佇んでしまうのである。
夕方くらいに来て、レバニラと餃子をつまみに日本酒をお燗で飲みたい、
と思ってしまうのである。