私が住む品川区にはあまりいいタイ料理屋がない。
大崎のペチャラット、荏原町のポーモンコンが閉店してからは本当に深刻だ。
大崎警察署の向いに「NIRE'S ASIAN」というタイ料理店ができたとの情報を得る。
あまり期待をせずに、秋分の日の夕方に妻と行ってみることにする。
予約の17時半に店に着くと、全21席の店内に先客はなし。
4人用のテーブル席に座る。
タイ人と思われる若い男性二人によって切り盛りされている。
手作り感のある内装だが、あまりタイ料理屋っぽい雰囲気ではない。
メニューを見ると、フォーやナシゴレンなどのベトナム料理っぽい品に加え、
韓国風手羽先唐揚げや照り焼きチキンピザなんかもあり、
タイ料理を中心とした東南アジア居酒屋、ダイニングバーという風である。
この時点で本格的タイ料理は食べることは半ば諦める。
ドリンクはEL GRILLというアルゼンチンのマルベックをボトルで注文する。
2,900円だったが、値段の通り、若いワインだった。
この日の料理一品目はタイ風海老パン390円である。
エビグラタンがのるパンにスイートチリソースをつけて食べる。
これがなかなかバカにできず、美味い。
二品目は海鮮と春雨のスパイシーサラダ840円、いわゆるヤムウンセンだ。
あまり辛さがなく、酸味が前面に出る感じ。
まずまずとしか言いようがない。
ラープガイやヤムヌア、ヤムタクライなどの定番サラダがないのがきつい。
三品目は鶏肉のオーブン焼き1,150円、いわゆるガイヤーンだ。
本来のガイヤーンは炙り焼きで、炭火などでタレ焼きされると強烈に美味いが、
正直言ってクックパッドに出て来るタイ風鶏肉焼きのような味になっている。
ガイヤーン、コームーヤーンはタイ料理店の本気度の尺度になる料理だ。
ここで登場はゴールデンソフトシェルクラブのポンカリー1,350円である。
本来のプーニムパッポンカリーは揚げたカニがソースでややしっとりする。
サクッともべチャッとも言えない微妙な食感が面白いわけだが、
この店のは完全にサクッとしていて、何となく新鮮な印象だ。
もう私も妻も、米も麺も食べられるお腹は残っておらず、
マッサマンカレー840円をご飯なしで注文して〆ることにする。
本来はあまり辛くない料理だが、辛めにするようお願いする。
トマトの酸味が効いて、スープとしても十分美味かった。
本格タイ料理は食材を揃えるのが大変だし、技術的にもハードルが高い。
だからこういうタイ料理風居酒屋、ダイニングバーが今後増えていくだろう。
でも絶対に本格派のタイ料理店には敵わない。
会計は二人で7,470円のところ、食べログクーポン使用で6,349円だった。
NIRE'S ASIAN (タイ料理 / 大崎広小路駅、五反田駅、大崎駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.0