築地場内で食事をしようとすると結構いい値段を取られることが多い。
昼に1,000円以内で食事できる店は稀で、普通に2,000円以上かかる店も珍しくない。
値段に質が見合った店もあるのだろうが、観光地価格としか思えない店もある。
今日は場内きっての廉価店として知られる禄明軒に約8年ぶりに行く。
午前11時よりちょっと前に店に行くと、カウンターのみ20席の店内に先客は4人。
すべて市場関係者っぽい男性一人客だ。


席につき、壁上部に掲示された黒板メニューを見る。
あれれ、ずいぶんメニューが減ったな。
ハンバーグやカレーがなくなっている。
8年前に食べたカレーが美味かったのでこの日も目あてにしていたのだが・・・
気を取り直し、豚の生姜焼ライス600円と単品メンチカツ500円を注文する。
カウンター内で注文を受けた男性主人がそのまま奥の厨房に行って調理を始める。
一応年配の女性店員がいるが、ほぼこの男性一人で運営されていると言ってよさそうだ。
私の後に入ってきた客の注文も、調理の合い間に出て来た主人が取っている。
注文から6分くらいで、まず生姜焼ライスが出来上がってくる。
ワカメと豆腐の味噌汁がつき、ご飯はあらかじめ少なめで頼んである。
豚肉は小間肉が使われ、千切りキャベツと、何故か洋辛子が添えられる。
食べてみると、豚小間肉はあまり質がよくなさそうで、スジばった箇所が多い。
味はやや薄目の醤油、生姜味で、キャベツを浸して食べると美味い。
洋辛子はまったく合わない。
生姜焼の1分後にメンチカツが出て来る。
やはり千切りキャベツと洋辛子が盛られ、デミ風ソースの上にメンチカツがのる。
いかにも高温で揚げられた風のコロモはところどころ裂け目があり、
中身の挽肉部分は空気が入ってスカスカになっている。
生姜焼もメンチカツもかなりラフな仕上がりで、素人料理の域を出ない。
場内で際立つ廉価には、廉価なりの理由があると思えたのである。
もちろん廉価はありがたいことであり、また主人の接客はとても丁寧だ。
この日は悪天候で場内の人の出はいつもよりやや少なかった。
いつもなら行列を避けるように歩かなければならないところを、
のんびりといろいろな店を物色しながら歩くことができた。