約30年前、グルメの情報源が口コミか「ぴあマップグルメ」だった頃、
湘南カレーってやつを食べてみたいと心から思っていた。
「珊瑚礁」、「キャラウェイ」、「シュクリア」はよくメディアに登場した。
今日はその宿願とも言うべき藤沢の「シュクリア」に行く。
午前11時にJR藤沢駅に着き、北口を出て3分ほど歩いて店に行く。
店は既に開店していて、カウンターのみ全10席に先客は男性一人のみ。
しかし私のすぐ後に一人客ばかり5人ほどが続いて入店する。
メニューは昔ながらのカレースタンド風のシンプルな構成だ。
ご飯の量がかなり多い、辛さは10倍でも大して辛くない、
という二つの重要な事前情報をすでに得ている。
あとはトッピングの自由度がよく分からないので、店員に聞く。
「すいません、カツカレーにもう1枚カツをトッピングって出来ますか?」
「プラス250円っでカツ1枚を追加できます。」
心の中でガッツポーズしつつ、ポークカツカレー800円をご飯少なめで、
更にトッピングポークカツ250円を加え、辛さ40倍で注文する。
店は年配と中年の二人の男性によって切り盛りされている。
様子を窺っていると、中年男性の方が上位職者のようだ。
注文から6分ほどで出来上がってくる。
トップングのカツは別皿で、カレーがかけられた状態で出て来る。
作業を見ていた限り、このカレーは本体のカツカレーのカレーと同一だ。
ご飯は少なめでも山盛りでかなり量が多い。
カレーには目立った具はなく、挽肉の残骸だけ認められる。
ルーはモッタリでもサラサラでもなく標準的な粘度と言える。
粗挽きのブラックペッパーがかなり入っているように見える。
カツは肉の厚みが最大1.2pほど、肉だけで1枚90g程度の量だ。
コロモは目が細かく、カツカレーのカツのお手本のようなコロモだ。
食べる。
カレーは正直言って、旨味成分が薄い平板な味だ。
塩っぱさだけが強く出ていて肝心なカレーの味わいがとても薄い。
辛さ40倍はCoco壱番屋換算で3辛程度、つまりちょっとピリッとする程度。
卓上には白菜、ニンジンの酢漬け、福神漬、玉ねぎの酢漬けが置かれる。
その内、玉ねぎの酢漬けを取って食べる。
三種もあるなら、その内一種は辛味のアチャールにすればいいのに、
なんて思った。
カレースタンドとしてはまずまず、という感想だ。
30年前は“湘南カレー”の名を高めるクォリティだったのだろうし、
今でもその時の思い出に導かれて訪れる客がいるのだと思う。
もし、また来ることがあれば、何も期待しないで入店するだろう。
そして、カツカレーの辛さ70倍を注文するだろう。
昼総合点★★★☆☆ 3.2