「南インド料理食いたいよね。」
「きゃー、食べたい食べたい。」
というわけで、土曜の夕食はテイクアウトの南インド料理に決定。
向かったのは久々の「南印度Dinning ポンディバワン」である。
あらかじめ電話で注文をしておき、車で取りに行く。
15時ピックアップの予約で10分ほど早く着いたが、
料理はすでにすべて出来上がっていた。
店内で食べられる品すべてをテイクアウトできるわけではないが、
選択肢は広く、カレーの種類も豊富で、店内同様辛さの指定もできる。
アチャール類がないのがちょっと残念。
『南インド料理』なんて言葉が定着するだいぶ前から名高かった店だ。
インド南部東岸のポンディシェリ出身のシェフが約十年前にオープンさせた。
私は当時、『南インド料理』という言葉のマニアックな響きに興味を覚え、
チェンナイ、ハイドラバード、チェティナドゥ、ケララ、マンガロール
なんていう、料理名につく地名に刺激的なワクワク感を感じたものだ。
当時インド料理と考えられていた代表的な品の多くは北インド料理だった。
ナン、タンドーリチキン、バターチキンカレーなどが該当する。
英国統治時代にインド北部にある首都デリーにいたイギリス人は、
インド独立後、本国に帰還してからもスパイス料理が忘れられず、
インド人やバングラデッシュ人の料理人を英国に呼び寄せた。
そんな料理人たちが、本来菓子やつまみに過ぎなかった小さなナンを、
パン食のイギリス人に合わせて主食になるようにアレンジした。
だから、我々が知っているデカいナンはインドにはない。
旧知のNIRVANAMの店員さんは日本に来て初めてナンを食べたと言っていた。
そもそもインドで食されている料理のほとんどは南インド料理だ。
それまで接したインド料理に偽り感を感じ(それも間違っているが)、
初めてオーセンティックなものに出会った喜びを感じていた。
御託はともかく、夕刻になって、お待ちかねの南インド料理ディナーだ。
妻が、カレーは鍋に移して温め、それ以外はレンジで温めなおす。
ワインはドイツの甘めの白ワインを開ける。
すべてが出来上がる。
ものすごくいい香りが漂ってくる。
つまみ用に購入したカリフラワー65、800円。
カリフラワーをスパイスでマリネし、コロモをつけて揚げたもの。
いわゆるゴビ65である。
ムルグ・マライ・ティッカ850円。
ムルグは鶏肉、マライは牛乳を熱したときに表面にできる膜のこと、
ティッカはひと口大という意味だ。
本来は牛乳の膜で鶏肉を煮込む料理だが、手間がかかりすぎるので、
現在は多くの店では生クリームとチーズで煮込まれる。
チェティナドゥ・チキンマサラ1,000円。
マサラと呼ぶ場合、グレイビーを使ったやや粘度のあるカレーになる。
ヴェリーホットで注文しているが、辛さはほどほどな感じ。
フィッシュカレー1,000円、こちらは比較的サラサラめ。
南インドのカレーらしく、マスタードシードの粒々が浮かんでいる。
そして野菜ビリヤニ1,100円、ライタとミニサラダがつく。
もちろんバスマティライスが使われている。
具はニンジン、インゲン、ひよこ豆など。
マスタードシードにカルダモンなどがバッチリ効いていて味は良かったが、
レンジで温めたので、野菜から水が出て全体がしっとりしてしまい、
いわゆるカッチ式で炊かれたビリヤニ独特の、
米粒のプツっとした食感を楽しむことができなかったのは残念だった。
このご時世、テイクアウトが充実している店はとてもありがたい。
インド料理店は、比較的いい店でもテイクアウトを充実させている。
巷間のタイ料理やメキシコ料理の店もそうであってほしいと思う。
南印度ダイニング ポンディバワン 武蔵新田 (インドカレー / 武蔵新田駅、千鳥町駅、下丸子駅)
夜総合点★★★☆☆ 3.9