王子神谷で用事を済ませたあと北本通りを王子駅方面に歩く。
朝、仕事に出る前は昼飯は東十条でからし焼きを、と考えていたが、気が変わる。
完全に讃岐うどんの気分だ。
スマートフォンで調べて出てきた「うどん屋 清」に行くことにする。
時節柄臨時休業を恐れていたが、13時過ぎに店に着くと営業していてホッとする。
入店すると1階フロアのカウンター全5席に先客は2人で、一番奥の席につく。
2階には座敷席があり、何人かの客がいるようだ。
卓上のメニューを見て、かしわ天ぶっかけ880円を大盛り1.5玉100円で、
更にちくわ天130円も注文する。
「自家製麺 伊藤」というラーメン店を都内で数店舗運営する会社が営む店であり、
店員が着るTシャツにグループ店のロゴが印字されている。
メニューに「冷やかけは関西風のお出汁です」と書かれているのが引っかかる。
当然ぶっかけや温かけは讃岐風のいりこ出汁なのだろう、と思ったが、
メニューにも店内のどこにも“讃岐”という文字は見当たらないことに気づく。
ひょっとしたら讃岐うどんの店との思い込みは勘違いだったか、と少々気が沈む。
あとで知ったが、国産小麦粉と九十九里の煮干を使っていると公言していて、
つまり小麦粉が香川県産かは分からず、伊吹いりこは使用していないようだ。
かしわ天の鶏肉も房総産らしく、讃岐うどん店を標榜する根拠はないことになる。
注文から7分ほどで出来上がってくる。
うどんにはあらかじめ万能ねぎと天かすがかけられている。
まずはぶっかけ出汁をすすってみる。
甘辛さは強くなく酸味もほとんどない。
醤油の主張が弱く出汁の味で勝負している感じでなかなか好みの味だ。
うどんはやや細めでエッジ感はそこそこある。
噛むと一瞬軟らかめかと感じるが中心部にはしっかりとした抵抗感がある。
歯を押し返すというよりは噛み切り際に歯に吸い付いてくる感じ、
食感はまさに讃岐のうどんだ。
天ぷらは別皿で出され、おまけでしし唐天が1個つく。
かしわ天は鶏むね肉使用で、心の中でガッツポーズをする。
4ピース盛られ、なかなかのボリュームだ。
ちくわは細めでやや小ぶりだが、量的にはこれでちょうどいい。
卓上に醤油がなかったので、天ぷらはすべてぶっかけ出汁につけて食べた。
途中、店員におろし生姜をお願いし、小皿に入れて出された。
ぶっかけ出汁に投入すると出汁の味が引き立ち、うどんの味わいも増した。
心地よい満足感ですべてを食べ切った。
讃岐うどんの店ではない。
でも讃岐風うどんの店ということでいいのではないかと思う。
ひと言で讃岐うどんと言ってもいろいろな店があるしいろいろなうどんがある。
食べた限り、そのゾーンには十分に入っている。
「北区にはいい讃岐うどんの店がある」と公言しようと思っている。
昼総合点★★★☆☆ 3.8